中段のチャートはbitfineとBitMEXのチャートですが、取引所間で約300ドルの乖離があります。裁定取引に馴染みがない方でも「Coinbase(BitMEX)で買って、bitfinexで売れば儲かるのでは?」と思うほどの価格差でしょう。
ご存知の方も多いと思いますが、bitfinexはUSD出金に数週間もの日数がかかることもあり、USDT・あるいはBTCとして出金されることが多いそうです。
BitfinexでBTCを売ると、ユーザーの手元にはUSDが残ります。本来であればUSD出金を行いたいところではありますが、長期の資金拘束を避けるためにUSDをUSDTに換えて出金を行います。そこで、bitfinexのUSDTUSD(USTUSD)チャートを見てみます。下段チャートのオレンジ線です。
見てお分かりになるように、いまはテザーの信用不安でUSDTレート(kraken)は下がっていますが、bitfinex内のUSDTレートは高騰しています。高値でBTCを売れても、取引所外に出金するためにはどうしてもUSDTが必要なために積極的な買いが入り、このような値動きになると思われます。
さて、見た目上は中段チャートのように300ドルの乖離があるように見えるbitfinex・BitMEXですが、bitfinexから取引所外に出金する際のプレミアム、他の取引所でUSDに換金する際のディスカウントを反映したbitfinex補正チャートをつくります。これが上段チャートの青いラインです。
すると、bitfinex補正チャートはBitMEX(Coinbase)価格にピタリと価格が一致し、これ以上鞘は埋まらないことがわかります。
ツイッター等で「bitfinexとBitMEXの中間価格に値段が近づいていくはず」という意見も見ましたが、USDTレートが正常化するまでは、この価格差は解消されないものと思われます。